Recipe Column

Recipeのレシピ(コラム)

28. 前田工業 人編・社長

2023-07-11

本項執筆時点(2026年3月)で49歳です。

理系的な考え方で、数字を扱うことを得意とする一方、国語はあまり得意ではありません。

趣味は、バドミントン、仕事、競馬です。最近はテキサスホールデムにも関心があります。

第20項でも少し触れましたが、6年間ファクトリーオートメーション(以下FA)に関わる業務に従事した後、静岡にて仕事をしております。

20代の異業種での仕事経験が「Recipe」誕生に大きく影響していると感じています。

2000年代前半に勤務していた会社では、とにかく温かい先輩・同期・後輩・代理店の方、取引先の方とご一緒させていただき、人に恵まれ、社会人としての基礎を学ぶことができました。同時に、工場自動化に関わる仕事でしたので、当時から「量産」の大切さが目に焼き付いたのだと思います。様々な製品の量産現場や、量産するための機械設備を目にし、「生産とは」を見ることができたのも大きな経験です。

学んだことは生産・量産の難しさ・大切さ。以前の項でiPhoneの話でも書きましたが、一つの部品が量産できなければその製品は世の中に根付かない。靴のように国内生産が衰退している環境の中では、部品点数を絞り、国内での量産が担保される材料・部品に合わせてシンプル設計する割り切りも必要だったのです。

20代当時はまだスマートフォンもなく、製品のカタログは、広辞苑のような厚い冊子。毎日カタログを開き、製品の説明や回答を行いました。 この時、紙のカタログの重要性を知りました。現代では、PCやスマートフォン、AIなど、情報を早く簡単に得る方法がいっぱいです。でも、ゆっくり調べて、ゆっくり読むときには、紙のカタログが最も有効だと感じています。視認性が高く、メモも取りやすい点が利点です。(少々古い考えかもしれませんが)。他の方に説明する際も、紙のカタログの方が見せやすいと感じています。「Recipe」では、カタログの制作に注力しています。店頭でお客様に、ご希望に沿ってお渡しさせていただいております。

当時一番の競合先は、2000年頃の『日経ビジネス』企業ランキングでも常に上位に位置していた企業です。そのような会社や営業の方と競合できた経験も大きいです。仕事の仕組みが勉強になりました。「Recipe」において大きく影響を受けている点の一つが、在庫に関する考え方です。同社は、全商品在庫あり、1個でも即日出荷の体制です。工場で部品が故障した場合でも、即時出荷により迅速に対応できます。FA業界において、この体制は工場管理者にはとても大きい(例、問題の制御部品をすぐに入手し取り換え、生産ラインをすぐに復旧させることができるから)。

必要なものを必要な時に仕入れる。この点は、靴小売りの仕入れ担当者が求めていること(売れ筋商品が売れたらすぐに追加をフォローしないと機会ロスにつながる可能性が高い)と同じです。靴はサイズがありますから、22.5から24.5までの在庫を揃えないといけません。一見当たり前のことのように思えますが、在庫がないだけで何もできません。第19項でも触れましたが靴市場においては、その「在庫を持つ」ということが必要以上にできていなかった市場でした。2015年頃、小売店様から商社に対する課題を伺った際、すぐにK社のことを思い出し、自社ブランドをやるのであれば、在庫は全商品分を保有し、倉庫・出荷ともに自社で行う方針を即決しました。

靴をスムーズに生産するのに4か月を要します(革1.5カ月、ミシン2か月、組み立て0.5カ月)。現在は人気商品の在庫が欠けないよう、4カ月先のことを予測し生産計画を立てていきますが、これもまた容易ではありません。現時点では、AIでも4か月後の天候や流行を正確に予測することは困難です。経営と並行して、在庫の品番や数を決めることにも、ここでも、壮大な立体パズルのような業務に向き合っています。

本項の最後に、前職の会社の創業者、立石一真氏の言葉に「最もよく人を幸せにする人が最もよく幸せになる」とあります。今の私には、まだその言葉の深さを十分に理解できておりませんが、社会人としての基礎を教えていただいた会社、多くの御先輩にご指導いただき、同期と楽しみ、現在の自分があります。心より感謝申し上げます。

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